古賀
ブラックモンブランが誕生したのは、今から半世紀以上前です。その頃は、まさか私にこういう仕事が舞い込んでくるとは思っていませんでした。
さて、当時、映画館に行きますと、スクリーンには、「総天然色」「シネマスコープ」というロゴが映し出されていました。ちょうど映像がモノクロからカラーに移り変わり、シネマスコープという横長のスクリーンが登場した時代です。特に「シネマスコープ」のロゴを見たときは、大きな衝撃を受けました。ワイドスクリーンをイメージさせるような立体文字。あのロゴに触れるたびに、常に心がワクワクしたのを今でも覚えています。そして、それがブラックモンブランのパッケージデザイン制作の大きなヒントになりました。ブラックモンブランという文字を立体文字にすることによって、雪山に映えるのではないか、インパクトが出るのではないかなと考えたのです。もちろん、これはすぐにできたわけではありません。クライアントである印刷会社の方や竹下製菓の担当者の方からの修正指示が何度も入り、その都度、色を変えたり、ロゴの書体を変えたり、雪山の写真を変えたり、もう何十回もやり直しを行なった上で完成したものなのです。自分としては「ファーストアイデアのものが一番良いのに」と思っていましたが、やはりお客様が一番好むものにするにはどうしたら良いかということを考え、最終的にこういう形のデザインになりました。パッケージデザインの仕事は、商品が売れれば売れるほどリピートが入って来ます。印刷会社としてみればビッグビジネスになるので、もう必死ですよね。だから納得のゆくものにするために、何十回も修正を繰り返して行くわけです。